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家族信託は、信託の仕組みを利用した家族への財産管理や承継のことを指しますが、平成19年に施行された改正信託法で、高齢者の財産管理や遺産の承継に信託を利用しやすくなった背景があり、最近注目されている制度でもあります。


家族信託の仕組み

後見制度や遺言制度に代わる形や、後見制度や遺言書とあわせて信託を利用することで、被相続人本人の希望に添った財産の管理や承継をすることが可能になっています。

とは言っても、まだまだ家族信託は弁護士にも浸透していない制度で、一般家庭にも認知されているとは言い難いですが、高齢化が進む日本では、家族信託は高齢者の財産管理や相続手続きの為に、注目され始めるものになると言っても良いでしょう。


家族信託は家族の希望に添った管理・承継するための枠組み


信託の一般的なイメージは、信託銀行が行う年金信託や投資信託だと思いますが、この場合は「受託者=信託銀行」となります。信託を事業として行うのは、信託業法の免許・登録を受けた信託銀行、信託会社しかできないことになっています。

しかし、信託会社(信託銀行)は、通常個人の自宅を信託財産として受託したりはしないため、家族信託のニーズに応えられないことが多くなってきました。

そこで、家族や親戚などの信頼できる知人に受託者になってもらおうといというのが基本的な仕組みになり、「受託者=家族」になっています。

家族信託に登場する人物は「委託者」「受託者」「受益者」の3人です。これに場合によっては「信託監督人」「受益者代理人」が加わりますが、イメージとしては下記のような図になるかと思います。
▶ 家族信託のメリット

1:後見制度に代わる柔軟な財産管理が実現できる


成年後見制度は、案外負担と制約が多く、毎年家庭裁判所への報告義務があったり、資産(財産)の積極的な活用や生前贈与などの相続税対策がしにくいといった負担があります。

成年後見人は本人の判断能力が衰えるまでは財産の管理はできませんが、家族信託であれば判断能力があるうちから、自分の希望する人に財産管理を任すことができますので、被相続人が元気なうちに、資産の管理や処分を託すことが可能になります。もし本人が判断能力を失った場合でも、本人の意向に沿った財産管理をスムーズに実行できます。


2:親の財産管理が容易に行える

2つめのメリットとしては、高齢な親の財産管理が容易に行えるという点です。例えばですが、父親が元気な間に財産の名義変更を行って長男に移しておきたい場合、その財産を自分のために使って欲しいケースでは、父親が委託者兼受益者となり、長男が受託者としておくことで老後の資産管理は安心して長男に任せられます。

これによるメリットは下記の5点です。


 1:財産管理に必要な手続をその都度成年後見人の同意を取る必要がなくなり、信託の定めに
   従って財産管理が継続されて手間が減る。

 2:贈与税を控除しながら長男に管理権を移せる

 3:状況に応じて最適な契約が可能

 4:詐欺被害への対策ができる

 5:財産管理を始めるまでの期間が少なくなる など




3:遺言書ではできないことが可能

3つ目は、遺言書の代わりとして使える効力を持っているという点です。遺言書を遺そうと思った場合、遺言書の作成方法に厳格に従う必要があります。
家族信託であれば委託者と受託者との契約で行うので、遺言書の方式に従う必要はなくなりますし、自分の死後に発生した相続について財産を承継する者を指定できないといったこともありません。


4:財産承継の順位づけが可能になる

遺産相続における増族順位の順番づけも可能になります。一般的な相続対策には「生前贈与」や遺言書を利用したものがありますが、生前贈与や「遺贈」をした財産に対しては、その次の相続人を指定できません。

一方、家族信託を利用すれば、最初に指定した受益者万が一亡くなってしまった場合でも、次の受益者を誰にするなど指定できますので、痒いところにも手が届くのが便利な部分といえます。


5:家族信託には倒産隔離機能がある

家族信託には、将来自分や受託者が「信託財産に関係のない部分で多額の債務を負ってしまった場合でも信託財産は差押えられない」という倒産隔離機能がありますので、将来万が一何かがあった場合に対する備えになります。

倒産隔離機能とは、信託の主な機能の一つで、信託財産が委託者の名義ではなく、受託者の名義となることで、委託者の倒産の影響を受けないことをいいます。 また、信託とは、委託者が受託者に財産権の移転などを行い、受託者に対して一定の目的に従って、財産の管理や処分などをさせることをいいます。


6:教育資金の一括贈与が1500万円まで可能になる

孫の教育資金を1500万円まで非課税で贈与できるという新制度が、2013年の4月から始まったのをご存知でしょうか?この制度を利用した信託商品が人気を集め、地方銀行なども対応する預金商品を取り扱うようになりました。

ただ、信託銀行は手数料をもらって代わりにやって信託業務を行うため「商事信託」とも呼ばれ、金融庁に登録しなければ利用することができません。一方、家族で同じ仕組みで行う家族信託を使うと、銀行に支払う手数料もなく、あなたが孫ならいつでも自由にそのお金を使うことができます。


7:相続時の争いが軽減できる

例えば、被相続人になる方が遺言書を書く時点ですでに配偶者の判断能力が無くなっていた場合、自分はすでに死んでいるので残された配偶者の妻の生活費の出所が心配になります。

老人ホームなどに入っていれば月々の費用もかかりますし、配偶者に財産を相続させることはできても、すでに判断能力がないので賃貸契約や更新もできないというリスクもあります。

そこで、家族信託で名義を変えておくと、賃貸契約などのすべてに対応することができますので、家族信託で「自分が亡くなったら受益者は妻に変更する」としておくことで、受益者の変更に遺言書も遺産分割協議書も必要なくなり、手間が省けるということです。


8:不動産の共有問題・将来の共有相続への紛争予防に活用できます。


共有不動産は、共同相続人全員が協力しないと処分できないので、将来的に兄弟などが不動産を共同相続してしまうと同様の問題が生じます。共有者としての権利・財産的価値は、平等を実現しつつ、管理処分権限を共有者の一人に集約させることで、不動産の“塩漬け”を防ぐことができるのが、家族信託のメリットです。


9:二次相続が指定できる


家族信託は、二次相続を想定した相続対策としても非常に有効な選択肢となります。指定に関して言えば遺言書でもできますが、遺言書で指定できるのは、遺言者である被相続人が亡くなった時の一次相続の方法についてのみになっています。

たとえば、一次相続の被相続人Aは財産をBには相続させたいが、Bの相続人であるCには相続させたくない場合、遺言書でAの希望を残すことが困難になります。

しかし、家族信託を利用すれば、AはBを財産の受益者とし、Bが死亡した後はCではなくDを受益者とする仕組みを作ることが可能です。これを連続信託と呼んだりします。このように、遺言書よりも自由度が高く、個々の被相続人や相続人の意向に応じた相続の仕組みを作れるのが「家族信託」のメリットといえます。
▶ 家族信託のデメリット


1:成年後見や遺言でないとできない事もある


家族信託は財産の管理や処分に必要な行為を行うものであるのに対して、成年後見制度は民法で身上配慮義務を規定して本人の財産管理や身上監護も念頭においている点が大きな違いです。

家族信託には身上監護に関する内容を含めることも可能ですが、本人の法定代理人である成年後見人でなければ適切な身上監護ができない部分もあります。


2:受託者を誰にするかで揉める可能性がある


家族信託は、財産を適切に管理・処分できて、かつ信頼できる家族(親族)がいるかどうかが大きなポイントとなります。また、受託者に財産の名義が変わるということは、委託者に判断能力があるうちから利用できるというメリットではあるのですが、自分の財産が自分名義でなくなることに抵抗感を持つ人もいるでしょうし、信頼して任せたのに管理がずさんにされると、相続人の中から不満の声が上がり、トラブルになる可能性もあります。


3:高い節税効果は期待できない


家族信託を行うことで、節税効果があるわけではありません。受益者となった方が財産を取得するわけではないのに、財産を取得したとみなされるので、税金的な観点からみたら、負担は大きいといって良いかもしれませんね。
参考:みなし相続財産


4:遺留分減殺請求の対象となる可能性がある


信託は自分の死亡後に残った財産の承継者を指定できますが、遺留分減殺請求の対象となることがありますが、信託の性質から遺留分減殺請求の対象とならないという見解もあり、意見が別れる部分でもあります。


  家族信託と遺留分

    家族信託を設定した時点の、「①受益者」を夫、夫の死亡後の「②第2受益者」を妻、
    妻の死亡後の「③第3受益者」を長男とした場合、夫の死亡時に妻の取得する受益権と
    将来、長男が取得する受益権が他の相続人の遺留分減殺の対象となると考えられています。
    遺言で他の相続人の遺留分を侵害すれば遺留分減殺請求の対象となることは当然ですが、
    夫の死亡がきっかけとはいっても、受益権を夫から相続で承継したわけではなく、夫の遺
    言に基づいて承継したのでもないので、この辺りで議論が別れる部分ではあります。
相続相談のできる不動産会社 株式会社 リバティエステート
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